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バンナムは自社のアイドル音楽コンテンツをダンスミュージックやクラブミュージックの文脈に載せようとしているのか〈後編〉:電音部を中心に

バンナムがダンスミュージックやクラブミュージックを強化しているような気がする件。あまりにも記事が長くなりすぎたので記事を分けました。

主にアイドルマスター ミリオンライブ!、シャイニーカラーズ、SideMについて書いている前編はこちらです: nznb.hatenablog.jp

電音部

バンナムの動向で外せないのが2020年から始まった電音部の展開です。

電音部の楽曲はバンナム自社の音ゲーである太鼓の達人に数曲とセガ音ゲーであるオンゲキに1曲が収録されていますが、そうしたゲームでの展開が主ということではなく、あくまで音楽を中心としたコンテンツとして展開されています。

2021年~2022年にかけては40週連続デジタルリリースと称して新曲を連続で発表し続けるといった面白いこともやっていました。
ちなみにそのリリースが2022年2月に完了した後、バンナムは3月にはアイカツでも12か月連続リリースを開始することを発表しています。バンナム全体での水平展開が本当に様々な面で見られています。 (アイカツのほうは新曲が入るかは分かりませんが。)

 

電音部はかなり本気でクラブミュージックをやっているコンテンツで、私の感覚で説明すれば「普段はアニクラでDJやったり音ゲーにゴリゴリの曲を書いているような有名なトラックメーカーが同人で自由にやってるようなバリバリの趣味曲をバンナムがサポートして展開してる」みたいな感じでしょうか。
こうしたボーカルものの企画でクリエイター陣にkamome sano、kors k、KOTONOHOUSE、Masayoshi Iimori、Moe Shop、雄之助といった名前が並ぶこと自体に既にワクワク感と楽しさがあります。

音ゲーに楽曲が収録されているもののそのゲーム内のサブコンテンツではなくあくまで楽曲を中心とする独立したコンテンツである、という点では電音部はコナミひなビタ♪/ここなつと似ているかもしれません。とはいえ電音部とひなビタ♪/ここなつとでは、クリエイター陣こそ僅かに被るものの、音楽性はかなり異なる印象です。

 

興味深いのは、電音部に参加しているクリエイターがミリオンライブのRemixシリーズ参加者やMS2参加者とかなり共通していることです。

記事執筆時点で電音部とアイマス各ブランドのどちらにも参加歴のあるメンバーを列挙してみると以下のようになり、ミリオンライブだけが突出して多い状態です。これはなんらかの意図があっての水平展開なのか、それとも単に一度呼んだから呼びやすいねっていうだけなのかは分かりません。

電音部とシンデレラガールズ
ARM、TAKU INOUE、石濱翔、佐藤貴文、ミフメイ、夕野ヨシミ、渡辺量
※渡辺さんは電音部のサウンドアドバイザーで、現時点で楽曲提供はなし

電音部とミリオンライブ:
KOTONOHOUSE、Giga、KiWi、Neko Hacker、Nor、Snail's House、tofubeats、Tsubusare BOZZ、YUC'e、柿迫ヒカル、ケンモチヒデフミ、佐藤貴文、チバニャン、奈須野新平、早川博隆、半田彬倫

電音部とSideM:
なし

電音部とシャイニーカラーズ:
なし

 

いくつか電音部の楽曲を発表順に見てみます。最初の『Haiiro no kokoro (Prod. パソコン音楽クラブ)』のみ2020年、それ以降は2021年発表の楽曲です。

※貼り付けているYouTube動画の一部は「YouTubeアートトラック」というシステムのもので、違法アップロードではありません。

 

Haiiro no kokoro (Prod. パソコン音楽クラブ)』。ちょっとお洒落すぎますね…
澁谷梓希さんがこうしたアーティスティックな歌い方をされることを存じていなかったためとても驚きましたし、素敵だなあと思います。

youtu.be 【『Haiiro no kokoro (Prod. パソコン音楽クラブ)』 作詞・作曲・編曲:パソコン音楽クラブ】

 

『Where Is The Love (feat. Shogo & 早川博隆)』を書かれた早川さんはRebrastの代表で、個人的にかなりのEDMの名手だと思っています。

youtu.be 【『Where Is The Love (feat. Shogo & 早川博隆)』 作詞:Shogo、作曲:Shogo & 早川博隆、編曲:早川博隆

 

もっと治安悪くないと嫌だよ~~~という時には『Let Me Know (feat. Masayoshi Iimori)』。あの飯盛さんと聞けば安心してドロップの暴力的な音に身を任せられると思います。

youtu.be 【『Let Me Know (feat. Masayoshi Iimori)』 作詞:なかむらみなみ、作曲:Masayoshi Iimori, なかむらみなみ、編曲:Masayoshi Iimori】

 

一気に雰囲気が変わり、Kawaii要素を濃縮しながらもゴリゴリと色んな楽しい音が詰め込まれたエレクトロナンバーが『Chick Chick love♡ (Prod. Nor)』です。大森日雅さんの高音が心地良い…

youtu.be 【『Chick Chick love♡ (Prod. Nor)』 作詞・作曲・編曲:Nor】

 

有名東方アレンジの影響か「IOSYSやARMは同じような曲ばかり」という感想を抱きがちな方に聴いてほしい曲といえばBEMANIの『星屑ディスタンシア』 (2015年) や『Come to Life』 (2016年) なのですが、それはそれとして。IOSYSは電音部でも『アイドル Break All (feat. IOSYS)』という面白い楽曲を制作しています。

一見『最強プロデュース! めざせ干支ップ☆アイドル』 (2015年) や『激メシ!! わがにゃの晩ごはん』 (同) のようでいて、『爆なな☆てすとロイヤー』 (同) が始まったかと思いきやその次の瞬間uno名義に見せかけたRoughSketchさんがuno名義を突き破ってガバキック鳴らし始めたりして、でも最終的には七条レタスことD.wattさんの世界観で纏まっているみたいな感じ。

いや結局過去のIOSYS曲の要素盛ってるじゃんという話に読めてしまうかもしれませんが、でも割りと結構一味違う合作になっていて色んな作風が混じっているのが大分面白いと思える一曲です。

youtu.be 【『アイドル Break All (feat. IOSYS)』 作詞:七条レタス, 夕野ヨシミ, まろん、作曲:D.watt、編曲:ARM, D.watt, コバヤシユウヤ, uno】

 

本当に同じ作品かっていうくらい雰囲気が違いますが、最強にお洒落サウンドなのが『トアルトワ (feat. TAKU INOUE)』。TAKU INOUEさんの用いるシンセはいつもカッコいいものですが、この楽曲では雰囲気を大分変えているように感じます。

youtu.be 【『トアルトワ (feat. TAKU INOUE)』 作詞・作曲・編曲:TAKU INOUE】

 

お洒落な楽曲ばかりの電音部で、個人的に特に耳に残ったのが『Catch a Fire (Prod. ケンモチヒデフミ)』でした。ケンモチさんのハウスは凄いですね…

youtu.be 【『Catch a Fire (Prod. ケンモチヒデフミ)』 作詞・作曲・編曲:ケンモチヒデフミ

 

滅茶苦茶良いニューロファンクが『Night Flying (feat. banvox)』です。ドロップの入り方も抜け方もとても良いです。ドロップの圧の強さとの差異が素敵です。

youtu.be 【『Night Flying (feat. banvox)』 作詞・作曲・編曲:banvox】

 

ギガさんの『CHAMPION GIRL』もかなり良い感じです。『Let Me Know (feat. Masayoshi Iimori)』といい、健屋花那さんはこうしたヒップホップの歌い方がかなりカッコいいなと感じます。

youtu.be 【『CHAMPION GIRL』 作詞:q*Left、作曲・編曲:Giga

 

最後にMONACA石濱さんの『NEW FRONTIER!』です。王道でありながらも新しいと感じさせてくれる楽曲です。

youtu.be 【『NEW FRONTIER!』 作詞:やぎぬまかな、作曲・編曲:石濱翔

 

個人的に電音部の大きな特徴と捉えているのは、歌唱を担当する声優陣ににじさんじ所属のVTuberVTuberそのものとしてではなく "あくまでキャラクターの声優として" 起用していることと、シンガーソングライターとしての顔を持つVTuber周防パトラさんや同じくトラックメーカーとして活動中のVTuberミディさんをクリエイターの一人として招いていることです。

公に顔を露出せずに活動する音楽家や作家はあまたいるかと思います。VTuberが役者やクリエイターとして活動するということにはVTuberという芸能をそうした文脈の中で捉える行為だと私は考えます。それは現代の芸能活動として理屈の通る非常に自然な流れであり、電音部が発表された際に甚く納得したことをよく覚えています。

こうした筋が通った行為ができるのもバンナムのコンテンツの面白さ、バンナムの強みではないでしょうか。

バンナムVTuberといえば、電音部とは関係ありませんがミライアカリさんが2020年にバンナム系の事務所に所属したことも記憶に新しいですね。

 

少し不思議なのは、電音部の楽曲はランティスすなわちバンダイナムコアーツ/バンダイナムコミュージックライブからではなく、バンダイナムコエンターテインメントから直接発売しているという点です。どういった意図があるのか気になっています。

アイドリッシュセブン

さて、ここからはアイナナ、ニジガク、スーパースターについても触れてみます。いずれもランティス作品です。

アイナナ、ニジガク、スーパースターの楽曲を全部ではないものの一通り追いかけてから記事を書いていますが、まだまだ作品のファンと言えるほどに知識が深くはなれていない状態で記述しているので、お詳しい方は是非ご指摘ご批判、できれば推しのダイマください…🙇‍♂️

※貼り付けているYouTube動画の一部は「YouTubeアートトラック」というシステムのもので、違法アップロードではありません。

 

アイナナは2015年の一番最初の表題曲『MONSTER GENERATiON』がkzさんの手掛けるダンスナンバーとなっています。最初の楽曲からというのが凄い。

その後もアイナナにおけるkzさんのEDMは2018年の『WiSH VOYAGE』、2019年の『Mr.AFFECTiON』、2020年の『DiSCOVER THE FUTURE』とIDOLiSH7の楽曲において繰り返し披露されています。

youtu.be 【『MONSTER GENERATiON』 作詞:真崎エリカ、作曲・編曲:kz】

youtu.be 【『WiSH VOYAGE』 作詞:真崎エリカ、作曲・編曲:kz】

youtu.be 【『Mr.AFFECTiON』 作詞:安藤紗々、作曲・編曲:kz】

youtu.be 【『DiSCOVER THE FUTURE』 作詞:結城アイラ、作曲・編曲:kz、弦編曲:真部裕

 

中心となるIDOLiSH7の楽曲としてkzさん以外にも2018年の『Dancing∞BEAT!!』、2020年の『Everyday Yeah!』、2021年の『THE POLiCY』とEDMが数多く披露されていることがアイナナの特徴的な点と感じます。

youtu.be 【『Dancing∞BEAT!!』 作詞:結城アイラ、作曲・編曲:渡辺和紀

youtu.be 【『Everyday Yeah!』 作詞:児玉雨子、作曲・編曲:三好啓太】

youtu.be 【『THE POLiCY』 作詞:真崎エリカ、作曲・編曲:伊藤賢】

 

TRIGGERとŹOOĻの楽曲にもダンスナンバーが目立ちます。というか、アイナナはかなりEDM多いですね!

2016年の『Last Dimension ~引き金をひくのは誰だ~』、2017年の『Poisonous Gangster』、2019年の『Dejavu』、2020年の『Bang! Bang! Bang!』『ZONE OF OVERLAP』『My Precious World』『Unbalance Shadow』『Drift driving』『Ache』、2021年の『VALIANT』『バラツユ』『PLACES』『Smile Again』など。

youtu.be 【『Last Dimension ~引き金をひくのは誰だ~』 作詞:結城アイラ、作曲・編曲:Shinnosuke

youtu.be 【『Poisonous Gangster』 作詞:結城アイラ、作曲・編曲:MEG.ME】

youtu.be 【『Dejavu』 作詞:浦島健太、作曲・編曲:陶山隼

youtu.be 【『Bang! Bang! Bang!』 作詞:浦島健太、作曲・編曲:徳田光希】

youtu.be 【『My Precious World』 作詞:岩越涼大、作曲:GRP, 岩越涼大、編曲:GRP

youtu.be 【『Unbalance Shadow』 作詞:浦島健太、作曲・編曲:徳田光希】

youtu.be 【『Drift driving』 作詞:RYUICHI、作曲・編曲:中土智博】

youtu.be 【『VALIANT』 作詞:結城アイラ、作曲・編曲:TeddyLoid, Giga

youtu.be 【『バラツユ』 作詞:安藤紗々、作曲・編曲:村山☆潤】

youtu.be 【『PLACES』 作詞:結城アイラ、作曲・編曲:陶山隼

 

それ以外では2018年のソロシリーズである12 SONGS GIFTが全体的にEDMばかりで面白いです。『June is Natural』『Up to the nines』など。

youtu.be 【『June is Natural』 作詞:yozuca*、作曲・編曲:AstroNoteS】

youtu.be 【『Up to the nines』 作詞:安藤紗々、作曲・編曲:本田光史郎

 

アイナナではアイマスよりも数年早い2018年頃からかなりダンスミュージックの強化が感じられます。

ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会では、Carlos K.さん率いるCK Creative/CK Holdingsの楽曲が特徴的です。シャイニーカラーズにおけるオベリスクに近いでしょうか。

同時期にバンナム/ランティスが展開しているアイマスやアイナナ、また「サンシャイン!!」では良くも悪くもランティスお抱えの作家による提供が多いのが目に見えて分かりやすいのですが、ニジガクでは (勿論一部の作家はアイマス・アイナナ・「サンシャイン!!」と重複するものの) 全体的に傾向が異なる印象があります。

気になるのは滅茶苦茶お洒落な楽曲を書かれている作家のBEATNINEさん、Dummy Dogさん、Em.meさんの存在です。この3人はニジガクで初めて名前が現れた正体不明の恐らく覆面作家で、BEATNINEさんとDummy DogさんはCK Creative/CK Holdingsの関係者であることが判っていますが、Em.meさんに関しては全く不明です。後にBEATNINEさんとDummy DogさんはミリオンライブのLTH Remixに登板しており、今後どういった動向があるかが気になるところです。

 

ニジガクのお洒落楽曲担当といえばQU4RTZになります。2020年の『Sing & Smile!!』『Beautiful Moonlight』、2021年の『Swinging!』『Not Sad』。お洒落で綺麗な楽曲だと思います。

youtu.be 【『Sing & Smile!!』 作詞・編曲:Carlos K.、作曲:丸谷マナブ, Carlos K.
【『Beautiful Moonlight』 作詞:Ayaka Miyake、作曲:ygarshy、編曲:PASSiON KiNG】

youtu.be 【『Swinging!』 作詞:miyakei, DAICHI、作曲:Keisuke Koyama, DAICHI、編曲:Keisuke Koyama】
【『Not Sad』 作詞:柿沼雅美、作曲:須田悦弘, 要田健、編曲:要田健】

 

そしてダンスナンバーではDiverDivaでしょう。2020年の『SUPER NOVA』『Love Triangle』、2021年の『THE SECRET NiGHT』『Fly into the sky』。かなりはっきりと路線を考えて展開していることが分かります。『SUPER NOVA』はDummy Dogさんの名前が初めて登場した楽曲でもあります。

youtu.be 【『SUPER NOVA』 作詞・作曲・編曲:Dummy Dog】
【『Love Triangle』 作詞:Ayaka Miyake, 栗原暁、作曲:久保田真悟, 栗原暁、編曲:久保田真悟】

youtu.be 【『THE SECRET NiGHT』 作詞・作曲・編曲:Dummy Dog】
【『Fly into the sky』 作詞:miyakei、作曲・編曲:Em.me】

 

そしてQU4RTZやDiverDivaに比べても更に尖っている印象なのが2021年に発表されたユニットR3BIRTHです。

『MONSTER GIRLS』『Queendom』と『夜明珠』がこの年に発表されていることはやはり象徴的で、シャイニーカラーズのSHHisの発表を髣髴とさせます。ニジガクのR3BIRTHもシャイニーカラーズのSHHisも、2021年にスタートしたユニットです。バンナムの考える現在の音楽シーンがこれという認識があるのかもしれません。

youtu.be 【『MONSTER GIRLS』 作詞・作曲・編曲:Dummy Dog】

youtu.be 【『Queendom』 作詞・作曲・編曲:BEATNINE】

youtu.be 【『夜明珠』 作詞・作曲・編曲:BEATNINE】

 

次は上記以外のソロ楽曲を見ていきます。

2018年の『Starlight』はBEATNINEさんの名前が初めて登場した楽曲で、同時期のソロ楽曲の中でも雰囲気が全く異なっています。

youtu.be 【『Starlight』 作詞・作曲・編曲:BEATNINE】

 

同年の『めっちゃGoing!!』、明るく元気溌溂で雰囲気の中にCarlos K.さんのお洒落なシンセとキックが鳴り響くハーモニーが綺麗で面白い楽曲です。

youtu.be 【『めっちゃGoing!!』 作詞:Akira Sunset、作曲:Akira Sunset, Carlos K.、編曲:Carlos K.

 

2020年の『Butterfly』はEm.meさんの名前が初めて登場したお洒落の極みの楽曲です。

youtu.be 【『Butterfly』 作詞:Ayaka Miyake、作曲・編曲:Em.me】

 

まさにダンスナンバーといえばこれと言えるのが同年の『VIVID WORLD』。同じTeddyLoidさんとしてはアイナナの『VALIANT』と比べると同じEDMでも傾向が全く違い面白いです。

youtu.be 【『VIVID WORLD』 作詞:Ayaka Miyake、作曲:Luis Ogata、編曲:TeddyLoid】

 

最後に2021年の『I'm Still...』。内田秀さんの英詩の歌唱力の高さをこれでもかと活かした綺麗なバラードです。

youtu.be 【『I'm Still...』 作詞:nana hatori、作曲・編曲:ソラノアルト】

 

ニジガクの楽曲の傾向としては2020年頃からダンスミュージックが強化されている印象です。

 

2022年のアニメ2期からの新曲では『Eutopia』と『繚乱! ビクトリーロード』が早速話題になりました。

youtu.be 【『Eutopia』 作詞:Ayaka Miyake、作曲・編曲:*Luna, 角野寿和】

youtu.be 【『繚乱! ビクトリーロード』 作詞・作曲・編曲:チバニャン】

*Lunaさんの楽曲で言うと『ST/A#R』 (2020年) に短いものの結構エグいドロップが挿入されていたのでそれを少し髣髴とさせます。本格的なダンスナンバーでありながら楽曲全体の爽やかな雰囲気は確かに*Lunaさんの楽曲と通じていて面白いです。

また、チバニャンさんはミリオンライブと電音部への参加を経て、ニジガクではついに全体曲を担当されたことになります。今後の他バンナム作品への参加も見られるのか楽しみです。

ラブライブ! スーパースター!!

2021年にスタートしたスーパースターではニジガクから更に作家の傾向が変わっており、全体的に兼松衆さん (日音所属) と山下洋介さん (スコップミュージック所属) の参加が目立ちます。

また、興味深いのがシャイニーカラーズとの作家の共通性です。秋浦智裕こと秋山智美さん・下浦晃裕さん (onetrap所属)、家原正樹さん (スマイルカンパニー所属)、小久保祐希さん (オベリスク所属) など。

 

スーパースターの楽曲は一貫して明るく透き通るような雰囲気を持っており、実際に聴いてみれば分かりますが結構他作品との毛色が異なるように感じました。キャラクターデザインの淡い色味やパステルカラーとも通じるような気がします。

音楽に関する知識が浅いので上手く説明できないのがもどかしい…😔アイドルソングの名手EFFYさん (FirstCall所属) の楽曲でさえも雰囲気が結構違います。しっかりアイドルソングでありながらこの差異が出せるのって凄いなあと思います。

 

ダンスミュージックは2021年の『未来は風のように』『バイバイしちゃえば!?』『ノンフィクション!!』、2022年の『HOT PASSION!!』『Till Sunrise』『Flyer's High』などがあり、2021年に始まった作品で総楽曲数がまだ多くないことを考えるとなかなかの数です。

youtu.be 【『未来は風のように』 作詞:畑亜貴、作曲:山田智和、編曲:久保田真悟、弦編曲:兼松衆】

youtu.be 【『バイバイしちゃえば!?』 作詞:宮嶋淳子、作曲:光増ハジメ、編曲:EFFY】

youtu.be 【『ノンフィクション!!』 作詞:宮嶋淳子、ラップ詞:モン吉、作曲:モン吉, 田中隼人、編曲:田中隼人

youtu.be 【『HOT PASSION!!』 作詞:Lauren Kaori、作曲:NA.ZU.NA, 小久保祐希, Lauren Kaori、編曲:NA.ZU.NA
【『Till Sunrise』 作詞:Lauren Kaori、作曲:NA.ZU.NA, 小久保祐希, Lauren Kaori、編曲:NA.ZU.NA

youtu.be 【『Flyer's High』 作詞:宮嶋淳子、作曲:久保田真悟, 栗原暁、編曲:久保田真悟】

 

ただ、ニジガクに比べるとスーパースターではかなり音楽性というか、作風をライトな範疇に抑えている印象があります。

アイドルマスター シンデレラガールズアイカツ!、ウマ娘 プリティーダービーあんさんぶるスターズ!

関連事項としてシンデレラガールズアイカツウマ娘、あんスタにも駆け足で触れて記事を締めます。

 

ランティスが管轄しているミリオンライブ、SideM、シャイニーカラーズに対し、シンデレラガールズ日本コロムビアということもあり私としては少し音楽の傾向も異なると考えています。また、デレステの運営者がCygamesです。加えて、端的に私がシンデレラの音楽を全然追い切れていません… (ごめんなさい)。そのため、この記事では深く追いませんでした。詳しい方、是非ツッコミを入れてください🙇‍♂️

少しだけ触れておくと、シンデレラガールズではTAKU INOUEさんとAJURIKAさんがバンナム社内のスタッフとしてかなり早い段階から先陣を切ってお洒落なクラブミュージックを数多く展開されてきました。現在は2人とも退社されていますが、提供が続いています。2018年頃にはカプコン出身のミフメイさんが入社となり、2019年に『バベル』、2020年に『躍るFLAGSHIP』、2021年に『星環世界』と毎年力強いサウンドを提供されています。

youtu.be 【『バベル』 作詞・作曲・編曲:ミフメイ】

youtu.be 【『躍るFLAGSHIP』 作詞:只野菜摘、作曲・編曲:ミフメイ】

youtu.be 【『星環世界』 作詞:八城雄太、作曲・編曲:ミフメイ】

 

シンデレラで大きな出来事と感じたのは2022年の『OTAHEN アンセム -Massive New Krew Remix-』の発表です。Massive New Krew (以下MNK) の篠崎さんと橘さんはアイマスを含む数多くのアニメ・ゲームコンテンツに楽曲を提供されてきましたが、それはあくまで「篠崎あやと」と「橘亮祐」としてであり、MNKとしてではなかったのです。MNKという名義を使う時はかなりゴリゴリのハードスタイルやサイスタイルなどを作る時ですから、ついにMNK名義でアイマスに参加する時が来たものかと大きな衝撃がありました。

youtu.be 【『OTAHEN アンセム -Massive New Krew Remix-』 作詞・作曲:佐藤貴文、編曲:Massive New Krew】

これに関してはシンデレラのRemixに携わっているTAKU INOUEさんのツイートが興味深いです。

 

アイカツシリーズではランティスから音楽が発売されていますが、音楽制作はMONACAが直々に行っています。そのため田中秀和さんや石濱翔さんの音楽性がかなり出ている作品です。

アイカツに関しては音楽に詳しい方による解説をご覧いただくのが早いと思いますので、記事を貼ります。 (2022年最新の動向についての記述ではありませんが。)

note.com note.com

 

ランティスが音楽を管轄しているウマ娘においてもEDM楽曲の強さは無視できません。

ウマ娘バンナムではなくCygamesのコンテンツですが、音楽がランティスということもあってクリエイターはバンナムのコンテンツとかなり重複しています。
また、Cygames作品なのでCygames所属作家 (内田哲也さん、本田晃弘さんなど) が参加しているのは勿論のこと、Cygamesの繋がりでシンデレラガールズとのクリエイターの共通性 (AJURIKAさん、田中秀和さんなど) があります。そして更には、コナミ出身の作家が数多く所属するINSPIONからも参加が見られます (黒沢ダイスケさん、秋田真典さんなど)。本田晃弘さんがコナミ出身であることと関係があるのでしょうか?

音楽面で見てもかなり濃密なコンテンツと言えると思います。

 

主要曲では2021年の『本能スピード』が分かりやすくダンスナンバーです。

youtu.be 【『本能スピード』 作詞:うらん、作曲:濱田幹浩、編曲:AJURIKA】

 

2022年の「WINNING LIVE 03」の試聴動画を見てみましょう。2曲目以降、EFFYさん、田中秀和さん、佐伯高志さん、TAKU INOUEさんによる楽曲がいずれも違った魅力を放っています。特にTAKU INOUEさんの『ライトレス』は聴くとすぐに分かるように、曲の構成というかドロップの入れ方が完全に洋楽です (我ながら語彙力のない感想…)。凄くカッコいいと思います。

youtu.be 【『ライトレス』 作詞・作曲・編曲:TAKU INOUE】

 

最後に、フロンティアワークス作品であり厳密にはバンナム作品とは言えないかもしれませんが、バンダイナムコアーツが関わっているのであんスタの話をします。

あんスタにはかなりお洒落なダンスミュージックが大変多いです。2015年『Voice of Sword』、2017年『WONDER WONDER TOY LAND』、2018年『Eccentric Party Night!!』などほかにもいっぱい。

※貼り付けているYouTube動画の一部は「YouTubeアートトラック」というシステムのもので、違法アップロードではありません。

youtu.be 【『Voice of Sword』 作詞:Mel*、作曲:矢鴇つかさ、編曲:矢鴇つかさ, 酒井拓也

youtu.be 【『WONDER WONDER TOY LAND』 作詞:こだまさおり、作曲・編曲:陶山隼

youtu.be 【『Eccentric Party Night!!』 作詞:こだまさおり、作曲・編曲:R・O・N

 

2019年、アニメからでしょうか、この傾向は更に強化されているように思います。2019年は『Play "Tag"』『Crazy Roulette』『Promise Swords』『Awakening Myth』、2020年は『The Tempest Night』『=EYE=』『Secret of Metropolis』など凄い豊作ぶりで枚挙に遑がありません。

youtu.be 【『Play "Tag"』 作詞:松井洋平、作曲・編曲:kz】

youtu.be 【『Crazy Roulette』 作詞:こだまさおり、作曲:SHIBU & YU-G、編曲:SHIBU】

youtu.be 【『Promise Swords』 作詞:こだまさおり、作曲:桑原聖、編曲:酒井拓也

youtu.be 【『Awakening Myth』 作詞:松井洋平、作曲:TAKAROT & Funk Uchino、編曲:TAKAROT】

youtu.be 【『The Tempest Night』 作詞:松井洋平、作曲・編曲:陶山隼

youtu.be 【『=EYE=』 作詞:こだまさおり、作曲:本田正樹、編曲:椿山日南子】

youtu.be 【『Secret of Metropolis』 作詞:松井洋平、作曲:西寺郷太 & 谷口尚久、編曲:谷口尚久 & 西寺郷太

 

アイナナやあんスタの楽曲を通しで聴いてみると、ミリオンライブでは泣きメロ担当のイメージがある中土智博さん (APDREAM所属) や酒井拓也さん (Arte Refact所属) がバリバリのお洒落楽曲を発表されていることが個人的に印象的です。陶山隼さん (SCOOP MUSIC所属) の楽曲も耳に残ります。

ドリームモンスター所属の本田正樹さんはノリの良いダンサブルな楽曲を得意にされているのを複数の他コンテンツでも感じていました。『=EYE=』は納得感のある作りだと感じます。

おわりに

色々と触れたいことに触れていると取っ散らかった記事になりがち。これでも抑えたつもりではあるんですが。

 

結論をもう一度。アイナナでは2018年から、あんスタでは2019年から、ニジガクでは2020年から、アイマス (ミリ/エム/シャニ) では2021年からそれぞれ、ダンスミュージックやクラブミュージックの強化がなされているのではないかというのが現時点での私の結論でした。

また、電音部は2020年スタート、スーパースターは2021年スタートのコンテンツであり、同時期の動向と見做せるのではないでしょうか。

 

しかしこの記事で明白に検討不足なポイントは、バンナムの関わらない他社の類似コンテンツとの比較を行っていない点です。2020年前後からこうした傾向が見られるのがバンナムの特徴なのか、それとも業界全体でこういう傾向があってバンナムも追随しているだけなのか、どちらなのかはもっと視野を広げて幅広く見てやらないと分からないでしょう。

それができる方は是非お願いいたします…🙏 (他力本願)